篆刻オーダーショップ土抱

篆刻を生業とす

2013年8月29日

篆刻はじめて篆刻に挑戦したのは小学校の時。たしか4年生くらいだったかと思うが、自分の名前から「治」と白文で2cm角くらいの印をつくった記憶がある。手の力がなかったからか、臆病だったのか浅くて細い線の印しかつくれなかった。
次は中学生の時。自分の名前から「賢」と朱文で2cmくらいの印をつくった記憶がある。手先が器用になって思う通り刻したが、まるでセンスのない丸ゴチックのような印をつくった。

高校に入ってからよく印をつくるようになった。石の印材は手元になかったので、そこいらの木に彫った。全寮制の学校だったこともあり、先輩や友人に頼まれたりもした。木はヒサカキという木で椿のような材質で、印材としても良材とはいわないが、ありな木だった。

学生時代には諸先輩に大変お世話になった。篆刻のあれこれもいろいろな方々から教わったり、アドバイスをいただいたりした。独学といえばそうなのだが、たくさんの先輩からいただいたもののおかげである。この時代があって自信を持ってこの仕事ができるようになった。とても感謝している。

2011年からフリーランサーになって、自由に創作する環境になった。
もちろん、篆刻以外にも書道に関わるさまざまな仕事をしているが、自分のクリエイティブな欲求はほとんど篆刻に注ぐことができるようになった。

書道を志しその道に進む者は多い。けれども、今の日本で書の創作でご飯は食べていくことはできない。みんな教えることで生計をたてている。絵画などと違って市場が無いと言われるが、この状況は書家と名乗っている人々だけでなくて、書道業界で仕事をしている我々に責任があるのではないかと思う。

そんな中で、篆刻は自分の創作を販売することができる数少ない選択肢だと思う。はじめからそんな観測を持ってこの道を選んだわけではない。たまたま小さいものが好きだったり、彫る・刻すことも好きだったり、多少手先が利いたりいろいろな偶然でこの生業にたどり着いてきたことを、素直にありがたいと思う。

そんな気持ちで創作していると、ついつい時間をたくさん費やして印をつくってしまうことが多い。芸術やアートという考えて創作しているのならば、時間をどれだけかけてつくろうが構わないのかも知れないが、半面は製造業でもあるから本来ならば制作にかける時間は一定の時間内でおさめるべきだ。とはいえども、やはり時間をかけるとよい作品が出来ることも多い。注文が少ないうちは採算度外視的な操業をするつもりではあるが、よい加減を模索していきたい。


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