印をデザインする(篆刻のデザイン)
印をつくるにあたり、大まかに作業工程をわけると、
- デザインする
- 刻す
- 装丁などの仕上げ
の3つに分類できます。
このなかでも特にデザインの工程が一番印の善し悪しを決めることになります。
土抱の手順をご紹介しますと(普通ですが)
- 文字を調べて書き出す
- 印のイメージを考える
- 草稿を書く
- 印稿を仕上げる
という手順です。このうち1と2は前後したり同時に考えたりします。
デザインの要素として大切にしていることは
- 疎密
- 骨格
- ぎりぎり
- 古典に倣う(奇をてらわない)
というようなことでしょうか。1色刷りデザインみたいなものなので、小さい画面でどうやってドラマというと大げさですが、メリハリを生み出すか考えたりします。筆画のまばらな所と密な所をつくるわけです。でも結局、刻す文字の字形に素直にデザインするのが一番だと、かねがね思っています。骨格は健康的なスタンダードなことが一番だと思います。それが古典に倣うということと同じかも知れません。
篆刻というものは、ステキな骨格でデザインできたとしても、やっぱりそれに付随する線の切れ味とか鈍な感じとかキワキワな感じなんかの装飾的な要素も伴わないと美しくならない、とは言い過ぎかも知れないですが、大切な要素だと思います。「ぎりぎり」って言っても色々ですが、すごい細い線とか、文字の隙間とかです。おじさんはチラリズムとか言います。
1色刷りと言いましたが、二階調ではないのです。印のへこんだ所と出っ張った所の境界はグレースケールです。その部分の仕上がりが印のマチエルみたいなものになると思っています。なので、紙に押す時も、印をどれだけ紙に押し込まれるか、微妙な話しですが、寸法で言うと10分の何ミリとかいうことだと思いますが、紙の下にどんな柔らかさのものを敷くかで、同じ印でも表情が変わるわけです。うちでは、牛皮の硬めで厚めのものを一枚敷くことが多いです。その下は硬いもの、板とか金属板とかです。もっとシャープな感じを出したい時は紙を何枚か敷きます。
デザインというより、だんだん技法になってきてしまったので、今日はこの辺にしておきます。