篆刻オーダーショップ土抱

篆刻の印材は何がいいか

2015年12月15日
竹根風の石印材

竹根風の石印材

このところ、あまり良質ではない印材で刻す機会が度々ある。良質の印材は、気持ちよく刻すことができることは言うまでもない。
今時の青田石、昔から一般によくある寿山石、新型の石など、いろいろだが、よくよく選ばないと、廉価で安定した材質の石に出会えなくなってきている。良い石印材は減ってきているのだ。

石印材は天然の資源で、埋蔵されているものを使い切ってしまえば、人の手で人の一生の間に新たな石を作ることはできない。しかも日本では産出されない。では、木とか竹とか、別の材料にすれば良いのだが、正統な篆刻はやはり石印材で表現するのが一番妥当だし、そもそも文人にも扱える石印材が発見されてから「篆刻」という芸が興ったのだから。

陶印や磁印という選択肢もある。僕は陶印しか作ったことがないが、なんでもきめ細かい磁土は、石印材ほどではないにしても、繊細な表現も出来るという話しだ。陶土や磁土も天然採掘資源で、枯渇の心配もあり得るが、石印材程の心配は全く無いだろう。

木による篆刻は、独特の線質になる。石の印材は印刀を筆のように扱い、削るでもなく、切るでもなく、まさしく刻すという言葉がふさわしい作業で、印を作る。木は、刃物を入れた場所だけを彫ることができるので、シャープな感じの印になる。これはこれで、良さがあるが、修練がまだまだ足りないせいか、なかなか自分の感覚を思うように表現できない。

とはいっても、そもそも僕の物づくりは木工から始まっているので、そのうち木印篆刻家になりたいという願望は持っている。


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