篆刻とは
篆刻(てんこく)とは、書道や絵画(日本画・水墨画)などに押すための印、ハンコです。
書画作品には、署名をして印を押すのが伝統的な形式です。この署名と印を合わせて落款(らっかん)と呼びます。篆刻は落款に使う印のことです。日常で使うハンコと機能は似ていますが、あえて区別するのは、書画の作品に押すためにつくられた、小さいけれども一つの作品いわば芸術品だからです。
篆刻には篆書という文字を使います。およそ2000年前に使われていた古代文字です。篆書を使うことが基本ですが、楷書(かいしょ)や隷書(れいしょ)など他の字体を使った印もあります。
土抱の篆刻は
土抱の篆刻は、こんな時にお使いください。
- 書道教室で展覧会に出品することになった時。
- 書道を趣味にする方に、プレゼント。(どんな作品を書いている方か、出品したことのある展覧会などわかれば、作風を合わせることができます。)
- 外国の方へのお土産に。
- こだわり派の方へお礼に。
- 人生の節目に、かっこいいハンコをつくりたい。
- 仲間とお揃いのTシャツに篆刻のデザインを使いたい。
印の種類【朱文/白文】
朱文印
文字のまわりを刻すと、捺した印の文字は朱色になります。これは朱文(しゅぶん)と呼びます。反対に文字を刻すと、捺した印の文字は白になります。これを白文(はくぶん)と呼びます。
白文印
印の種類【姓名印/雅号印】
落款印には通常、「姓名印」と「雅号印」(がごういん)そして「関防印」(かんぼういん)の三顆を使用します。姓名印は白文、雅号印は朱文とすることが多いですが、反対でも構いません。
関防印は作品の右上に捺します。作品の末尾に落款の署名を書き、その次に姓名印、雅号印と捺します。
姓名印は、その名の通り姓と名を刻します。また名のみ、または「名+之印」とする場合もあります。
この場合、文字の配置は右上から始めます。ただ「姓+之印」とは使いません。
雅号印は雅号という風雅な名前、いわば芸名を刻します。現在日本ではほとんどの場合二文字の雅号が使われています。(もちろん三文字などもありますが)
二文字の場合も、文字の配置は右側からです。ハンコでは二文字の場合は、上下に配置することが多いですが、篆刻では左右に並べます。これは、篆書がそもそも縦長の字形だということも理由の一つです。
姓が一文字で名前が二文字の場合は「回文」(かいぶん)といって、右上からはじめて左まわりに文字を配置することがあります。こうすると名の二文字の途中で改行するを避けられます。本場、中国ではよく使われる方法です。
制作手順
篆書で印を作る時には、まず字書で古い文字を調べ確認します。
例えば「美」という文字を一文字の印にすることにします。
楷書の字形を確認。常用漢字とは違う字形が本来の字形の場合もあるので確認しておきます。
字書で調べると、このような篆書がありました。この篆書が一番規範とすべきものなので、これを基準に印をデザインします。
左右対称の字形なので、左右には変化なく、垂直方向の重心や位置関係をおおざっぱに検討しました。
スケッチでデザインの方向性を定めてから、実際に刻すデザインの印稿をつくります。印稿をできるかぎり実際の印影と同じになるようにつくり、それを忠実に印面に布字して刻します。
落款印のサイズ
作品の落款印のサイズはどうやって決めればいいのかわからない。というご質問をしばしば受けます。落款印は書作品の出来を大きく左右するものなので、押す位置や印のサイズ、赤みの量や雰囲気などによって作品がより引き立ったり、不釣り合いな場合は何か落ち着かない作品になったりします。
印のサイズは、本文の文字サイズ、作品全体のサイズ、落款の署名の文字サイズをまず考慮して検討するべきだと思います。けれども、作品の雰囲気 ー具体的には墨が濃いとか、紙面の白が多いとか、カスレが多いとかー によって、どのような印がいいのか一概にはいえないものです。また、印をいくつ押すのかも重要な要素です。
このようなものであることを踏まえたうえで、平均的にはこの程度かと思うサイズを参考までに載せておきます。仮名や、漢字かな交じり作品は、散らし書きであったり、表現が多岐にわたるので、漢字作品のみです。あくまでも印を注文する場合の参考とお考えください。
印のサイズ(参考)ー漢字作品ー
- 半切(1行)
- 24mm角
- 半切(2行)
- 20mm角
- 半切(3行)
- 15~18mm角
- 全紙(1行)
- 30mm角
- 全紙(2行)
- 24~30mm角
- 半紙・色紙(1行)
- 15mm角(または18mm角)
- 半紙・色紙(2行)
- 15mm角